「逃げ馬を買い続ければ必ず儲かる」。
確かにその通りです。

データを出してみると、
勝率25.0%、複勝率51.1%
回収率単勝210%、複勝144%
(1986年以降で3コーナーで先頭だった馬の成績)
と圧倒的です。

「じゃあ、逃げ馬買い続ければ良いじゃん!」と思いがちですが、よくよく考えてみると「どの馬が逃げるのか」ということを予想するのが案外難しいのです。
「じゃあ、確実に逃げそうな馬を買い続ければ良いじゃん!」と思いがちですが、更にデータを調べてみると「今回逃げた馬のうち、前走も逃げた馬」の回収率は「単120~140%複100~120%」くらいのものです。
その上「前走逃げた馬」が今回逃げないケースもあります。
つまり、「逃げそうな馬」を買い続けても、プラスになるかどうかはギリギリと言えるでしょう。

ちなみに、たいのすけさんという方が「日刊スポーツ」の「白抜き逃げ馬(想定逃げ馬)」の成績を独自に調べ上げ、公開してくれています。
その成績がコチラ!
単勝回収率は91.3%!
100%を超えていません。

「いやいや、日刊スポーツの逃げ馬想定が下手なんじゃないの?」と思った人のために、他のデータを出してみます。
例えば、京大式推定前半3ハロン1位を買った場合の成績は、
単勝回収率は94%!
こちらも、100%を超えていません。

更に恐ろしいデータを出してみます。
例えば、前走後方に位置していた馬が、今回逃げたケース。
こんなケースの逃げ馬は予測不可能ですよね。
で、「逃げるのが予測不可能な馬(今回逃げた馬のうち、前走後方に位置していた馬)」の成績がコチラ!
単勝回収率400~450%!!!
競馬統計史上類を見ないほどの超高回収率になっています。
我々競馬ファンにも、思い当たる節が有りますね。
このタイプの逃げ切りを少し並べてみます。

2012年ダイヤモンドS1着単勝190倍ケイアイドウソジン(前走は14~16番手)
2012年日経賞1着単勝167.1倍ネコパンチ(前走は6~11番手)
2012年天皇賞(春)1着単勝159.6倍ビートブラック(前走は3~2番手)
2013年阪神C1着単勝15.4倍リアルインパクト(前走は5~4番手)
2014年京都記念1着単勝34.4倍デスペラード(前走は6~11番手)
2014年ヴィクトリアマイル1着単勝28.3倍ヴィルシーナ(前走は8~9番手)

上には挙げませんでしたが、先日のリゲルSを逃げ切ったアーデントも、前走は11~12番手でした。
思い出される2012年の逃げ切り大穴連打は、どれも予測が難しいものでした。
阪神Cはリアルインパクトを逃げさせたムーア騎手のファインプレー。
京都記念のデスペラードはノリマジックと言われました。
ヴィクトリアマイルのヴィルシーナの勝利は、スタートから一か八かで押して出して行った内田騎手の勝負騎乗によるものでした。

ここで、我々(逃げ馬を追う人たち)には2つの選択肢が用意されています。
1.予測不可能な逃げ馬を予測する
2.予測可能な範囲の逃げ馬に対して、条件・適性などによる取捨選択をする

逃げ馬で儲けるには、どちらかの選択が必要になります。



とりあえず、「1.予測不可能な逃げ馬を予測する」に挑戦してみましょう。
上に挙げた「逃げるのが予測不可能な馬が逃げ切ったケース」を、後付けでも良いので逃げる「予兆」を探してみます。


まず、「2012年ダイヤモンドS1着単勝190倍ケイアイドウソジン(前走は14~16番手)」から。
・レース前陣営コメント
2400mだったが、OP戦で強い勝ち方をしたのが東京コース。スタミナはあるからこの距離は持つと思う。ここ一連を度外視して期待。〈田村師・○〉提供:デイリースポーツ
「放牧明けになるけど仕上がりはマズマズ。今回は長丁場になるけど、掛かる馬ではないし、血統からも問題はないハズ。55キロのハンデを生かし、どこまでやれるかを見てみたい」(田村調教師)。提供:競馬最強の法則WEB

う~ん…。陣営コメントからは分かりませんね。

ただ一つ、素晴らしい着眼点を見つけました。
それは、過去に「ダート⇒芝」で逃げて勝っていること。
過去に2010年ながつきS(中山ダート1800m)を11着に敗れた後、2010年甲斐路S(東京芝1800m)で逃げて勝利しています。
どちらも吉田豊騎手です。
そして、2012年ダイヤモンドSの前に走っていたのが師走S(中山ダート1800m)。
ダイヤモンドSの騎手は吉田豊騎手です。
これは、計算では無いかもしれませんが、「ダート⇒芝」変わりで馬に精神的変化を与えたのが大きかったのかもしれませんね。
更に調べてみると、大逃げ切りで有名なイングランディーレも「ダート⇒芝」変わりで2勝も逃げて勝っています。
2003年アレキサンドライトS(中山ダート1800m)⇒2003年ダイヤモンドSで逃げて勝利。
2004年ダイオライト記念(船橋ダート2400m)⇒2004年天皇賞(春)で逃げて勝利。

おお!なんとなく「繋がった」感じはあります。
しかし、これを狙うといっても、ただ「ダート⇒芝」変わりの馬を狙っていたのでは儲かりません。
また、これは競争馬の精神に因るところが非常に大きいので、「Mの法則」や「カマシの理論」にも触れないといけません。
「カマシの理論」を一部抜粋すると、
ダートのレースを調教代わりに使う「ダートカマシ」は馬体調整とスタミナアップ(息がもつ)に著しい効果があり、芝のレースを調教代わりに使う「芝カマシ」は競走馬が芝のレースの速い流れを学習することによって次のレースでラップを上げる効果があり、短距離のダートでは特に効果が高い。
らしいです。
つまり、「ダート⇒芝長距離」「芝⇒ダート短距離」は良いということになりますね。
「ダート⇒芝長距離」で、尚且つ過去に「逃げ」を匂わせる戦績が有れば、少しは期待できるかもしれません。


次、「2012年日経賞1着単勝167.1倍ネコパンチ(前走は6~11番手)」を見てみましょう。
・レース前陣営コメント
道中ずっと自分のリズムで走れなかったし、参考外の一戦だよ。前々で気分良く運んで粘り込む形の競馬ができれば、それほど差はないと思う。〈星野師・○〉提供:デイリースポーツ
「追い切りの動きはラストがシッカリしていたし、良かったと思う。ここも持ち前の渋太い先行力を生かして頑張って欲しいね」(星野調教師)。 提供:競馬最強の法則WEB

おお!レース前から逃げる気があります!
しかも当日は重馬場で、後続は溜めすぎるとコーナーで無理やり押し上げて(水分を含んだ馬場のコーナーで加速すると大きなスタミナロスとなるので)、前に届かないかもしれません。

かなりこじつけ感がありますが、「予測出来ない逃げ」とまでは言えませんでした。


「2012年天皇賞(春)1着単勝159.6倍ビートブラック(前走は3~2番手)」
・レース前陣営コメント
久々のGI出走だから、いつもより強めの調教を課してきた。間違いなく最近の中では一番の出来。これでもうひと絞りあれば、もっと動ける。〈中村師・○〉提供:デイリースポーツ
「今回はGIということで抜かりのない仕上げをしてきたので、状態に関しては胸を張れる。そうは言っても今回は相手が揃ったからね。デキの良さを生かしてどこまで戦えるかだろう」(中村調教師)。提供:競馬最強の法則WEB

状態面には自信があるようですが、「逃げ」を意識させるコメントはありません。
過去に逃げ・先行しているレースはいくつかありますが、予測するのは容易ではありませんね。


「2013年阪神C1着単勝15.4倍リアルインパクト(前走は5~4番手)」
・レース前陣営コメント
在厩で調整。関西圏での成績がもうひとつなので調整パターンを変えて臨む。内回りの千四は合っているので好結果を期待する。〈橋本助手・○〉提供:デイリースポーツ
「2週続けてハードに攻め、追い日は軽めの調整。いい雰囲気になってきたし、やる気も見られてきたので楽しみだよ」(橋本調教助手)。提供:競馬最強の法則WEB

これは押して行ったムーア騎手の好騎乗という印象が強いです。
予測は不可能でしょう。


「2014年京都記念1着単勝34.4倍デスペラード(前走は6~11番手)」
・レース前陣営コメント
厩舎で調整して、前走の疲れはすっかり取れている。冬場が得意でケイコは相変わらず動く。強い馬はいるが、どこまでやれるか。〈安達師・○〉提供:デイリースポーツ
「速い追い切りは2本だけですが、中間は入念に乗り込んできたので態勢は整っています。今回も強敵の存在が見られますが、得意の京都で馬場も問わない馬。本番に向けて期待が持てるレースを、と思っています」(安達調教師)。提供:競馬最強の法則WEB

前走の2013年有馬記念にて、デスペラードは前が詰まり仕掛けが遅れ、かなり脚を余しました。
そして逃げ馬不在の2014年京都記念。横山騎手は逃げれば好勝負になると思いついていたのでしょうね。
これを予測の範疇とするかは微妙なところです。


「2014年ヴィクトリアマイル1着単勝28.3倍ヴィルシーナ(前走は8~9番手)」
・レース前陣営コメント
追い切りの動きは良かったので、あとは気持ちの問題でしょう。昨年のように先行して、この馬の勝負根性を生かせる形になれば。〈友道師・○〉提供:デイリースポーツ
「前走後は短期放牧を挟んでここを目標に調整。今日の追い切りの動きが良かったし、中間の飼い食いもよくいい状態で臨めます。前走の1400メートルを使ったことで馬に気持ちが入ってきた感じが見られるし、あとはレースで闘争心が出てくれるようなら」(友道調教師)。

逃げの経験が過去にあり、昨年の同レースで2番手から勝利しています。
ただ、今回は内枠のクロフネサプライズが逃げると思われていたので、予測は難しいです。


という訳で6レースを見てきましたが(とても疲れた)、理詰めで予測出来るレースは一つもありませんでした。
そもそも論として、後から考えてもたいした逃げの予兆が感じられないのに、それをレース前に読みとるなんて不可能です。
その上、回収率ベースでは大幅プラスになるポイントが有ったとしても、的中率ベースでは恐ろしく不安です。
例えば、「予測出来ない逃げ」とまでは言えないネコパンチレベルの馬(単勝160倍)を狙い続けて、回収率400%を保ったとしても的中率は40レースに1回。
ネコパンチレベルの条件は何ヶ月かに数レースあるかないかでしょうから、下手したら数年から10年くらいは的中出来ない可能性さえあります。
要するに、「理論上は不可能では無いが、現実的ではない」ということになります。


続く。


参考サイト
逃げ馬を追え!(たいのすけ氏)
競馬ブログ(仮)
ガラスの競馬場
となりのヤングジャンプ「ウイナーズサークルへようこそ」

参考文献
「京大式 推定3ハロン EX」
『KAMASI![田中式]馬券戦術』(田中充興:著)