今回は、スカイポットさんが立ち上げた「競馬予想家協会」についてお聴きしました。
スカイポットさんは以前にも対談のゲストとしてお呼びしたことがあります。(対談 スカイポットさんをゲストに 2014年3月)
競馬に対する真摯な姿勢と、高い予想力を持つスカイポットさんの思考は必見です。
カピバラ
まず、再度この場に来ていただきありがとうございます。
スカイポット
こちらこそ、お呼び頂きありがとうございます。
競馬予想家協会の構想
カピバラ
いきなり質問です。競馬予想家協会の構想は、いつごろからあったのでしょうか?
その構想に至った経緯もお聞きしたいです。
スカイポット
そうですね。まず、こういったものを作るなら協会の形だろうと、3年以上前くらいから思っていました。組合では結局内部だけのものになってしまうので。
構想に至る経緯ですが、若駒戦の予想を始めた2004年以降、その成績がとても良くて、メルマガの読者の方からは「なぜ有料にしないのか?」といった質問も受けるようになって、自分の予想技術が、いわゆるプロの方々と比べてどれくらいの位置にいるのか、知りたいと思うようになったんですね。
それと、自分もプロになれるかもという思いも抱いたりしました。趣味を仕事にできたらというロマンですかね。その時に、やはりこの業界は社会的に認められていないし、歪みがあると感じました。
カピバラ
スカイポットさんの実力は文句なしにプロ級だと思います。そして、それに社会的地位がプラスされるとさらに嬉しいですが、やはり業界の歪みがあることで正当かつ公に評価されにくいですもんね。この「歪み」をもう少し詳しく説明していただけますか?
スカイポット
最大の歪みは、予想を売れば、その買い目が買われることによって自分の配当も下がってしまうというパリミチュエルの壁です。これにより、予想技術を高めた方は有料予想を配信するようになり、予想技術は隠れてしまいます。それゆえ、競馬自体が儲からないギャンブルと思われがちになってしまいますし、レベルの低い業者も見せかた次第で参入できてしまっています。
カピバラ
そうですよね。予想力のある人ほど広く予想を公開するのをやめてしまう。自分の予想を企業秘密にしてしまうんですね。これによって競馬予想の知的側面が、本質以上に見えないものになってしまっているということが問題ですね。
この問題を解決するきっかけとして、競馬予想に対する正当な評価をオープンなものにしていく「競馬予想家協会」を設立したということですか?
スカイポット
「予想力」という評価も「正当」と言えるのかは疑義があるかもしれませんが、私が予想上手ならこの配点でポイントが高くなると考えて指標を作りました。そして、ルールを厳しめにしてみて、参加してくれる人(同志)がどれくらいいるかも知りたくて、まずは立ち上げてみたというところです。
ちゃんとしたルールにより、嘘のない実績で予想を競える場にしたので、真面目に予想をしている方には興味を持ってもらえているかなという手ごたえを感じています。
カピバラ
考えてみれば、予想大会をしている競馬サイトはあるものの、競馬予想自体の評価を突き詰めようとした試みは無かったですよね。その第一歩をスカイポットさんが切り開いたと言っても良いと思います。少しずつ、一人ずつでも、参加者を増やして、より「競える場」にしていきたいですよね。
スカイポット
競える場というのは、現在検討中の昇段システム以降の話でした(笑)。とりあえず今は、誠実に予想を行っていることを証明する場ですかね。それすら、多くの予想情報発信者は面倒くさがってやりませんので、これができるだけでも私は良い予想家だと思います。
ライトユーザーに一流の予想に触れさせることが一番
カピバラ
そうですね。ただ、やはり敷居の高さは感じてしまいます。ライトユーザーにも知的側面を知ってもらうにはどうすべきか考えていますか?難しい質問ですみません。
スカイポット
それなりの敷居の高さは、自分はやむをえないかなとも思っています。予想技術があることがわかれば、単純なギャンブルだと思って馬券を買っていた人はやめてしまうかもしれません。それでも、予想の知的側面の深みを知って、ファンになってくれる人もいると思います。まずは経済合理性がないという世論を崩すことからですね。最近は馬券裁判で儲かる人もいることが知られてきたようにも思いますが。
ライトユーザーに、一流の予想に触れさせることが一番でしょうね。
カピバラ
話は少し逸れますが、なんとなく日本人はややこしいことが嫌いな印象を受けるんですよ。これは私の個人的な感覚であり偏見のような思想でもあるのですが、競馬予想に限らず、音楽であったり、スポーツであったり、分かりやすいものほど人気があるような気がしています。すみません、あまり関係の無い話で。
「ライトユーザーに、一流の予想に触れさせることが一番」というのはその通りだと思います。私もニフティのコラムで予想家二人の対談やシビアに競馬を見ている予想家の回顧を見て競馬に興味を持ったんですね。だから、私のような思考を持つ人は知的側面を見ることで競馬が好きになります。私が変わっている可能性もありますけどね。
スカイポット
確かに、大衆受けする作品が芸術的に評価されるものかは別ですね。ただ、こと競馬予想に関して言えば、まずは的中率や回収率のバランス等の、嘘のない実績が評価されるはずなので、その点はあまり心配していません。ライトユーザーは自分で予想をしないかもしれませんが、真に予想技術のある予想者を頼り、認めてくれると考えています。
カピバラ
そうですね。競馬予想は完全な評価基準は無いですが、「的中率」「回収率」、そして、「予想力」などの評価基準はありますから、能力を可視化出来るという大きなメリットがありますよね。そして、可視化出来るということは分かりやすいということでもありますから、ライトユーザーが興味を持つきっかけとしてはむしろ効果的ですね。
スカイポット
自分は、誠実な、高い予想技術のある予想者がより評価される(社会的にも)世界を目指しているということで、それがライトユーザーにも楽しんでもらえるなら万々歳ですね。
カピバラ
競馬の楽しみ方も、今よりもっと多様な世界を目指せそうですよね!
カピバラ、競馬予想家協会に参加!
カピバラ
私もこの競馬予想家協会の理念に共感しています。ですので、私も競馬予想家協会に参加したいと考えています。
とはいえ、参加するにはルールを知らなければなりません。例えば、ブログに予想を公開するだけでは、事後変更が可能なので、正式に認めることは出来ないルールでしたよね?
スカイポット
成績開示予想者登録への参加表明、ありがとうございます! その通りです。ブログでは記事をUP・更新する時に、掲載日時を修正することが可能と認識しています。成績開示予想者の登録のためには、嘘偽りのない予想実績を積み上げて頂く必要があり、事後修正のできない媒体(メルマガの「まぐまぐ」や、競馬ナンデ等)で予想を行って頂く必要があります。
スカイポット
手順を簡単にご説明しましょうか?
カピバラ
ありがたいです!お願いします。
スカイポット
まず、予想実績を積み上げて頂きます。事後修正のできない媒体において、発走時刻以前に予想を投稿して頂きます。登録には100R以上の予想数が必要になりますので、多少時間はかかるかもしれません。それと、予想方法に少しルールがありまして、どのように予想を記載し、成績を計算するかという点、投資額の範囲をいくらにするか等、先に確認して頂いたほうが良いと思います(開示規則第3条)。
予想実績が100R以上蓄積されましたら、「予想成績報告書」を作成して頂きます。 これは、競馬予想家協会の諸規則ページにエクセルファイルの様式がダウンロードできますので、そちらで作成してください。作成方法は、当エクセルファイルの記載要領シートと、協会の諸規則ページにあるガイドライン(Q&A)を参考にしてください。作成された報告書を協会にメールで層鵜
送付して登録申請をして頂ければ、協会で審査をし、問題がなければ登録されます。
開示規則5,7,8条関係部分です。
カピバラ
なるほど。私の場合競馬ナンデに登録しているので、競馬ナンデに予想と買い目をアップしておけば、レース後の変更が出来ないので、正当性を証明出来ますね。ただ、100R以上となると週に1レースくらいしか予想しない私は2年かかりますね。期間が長い場合でも大丈夫でしょうか?また、投資額は下限の7倍以下ということは200円の買い目のレースがあるなら、買い目は最大でも1400円までとなりますよね。
スカイポット
競馬ナンデに予想をされている方であれば、特殊計算として、例えば、◎の単勝500円、◎から○▲△へ流す馬連各200円、◎から○▲△へ流す3連複各200円、◎1着固定で○▲△へ流す3連単各100円の合計2300円の投資で計算しますと決めれば、過去の予想も含めて頂けます。
1期の期間は最大1年ですが、直近期の予想数が100R未満の場合、その直前期の予想数を足すことも可能です(さらにその一期前を足すことも可能)。
投資額範囲は、予想成績報告書に記載する際に、投資額範囲の上限及び下限に合せてもらえれば問題ありません。ですので、投資額範囲を1000円~7000円と設定し、200円の投資だったレースがある場合には、1000円のレートに合せ、回収額も5倍にして頂くことになります。
カピバラ
なるほど。買い目を書いていなくても、特殊計算によって一律で買い方を決めておけば過去のレースも計算に加えることが出来るのですね。また、期間も区切りは付けるものの、前の機関の成績を含めて100Rとして良いということですね。そして、後から倍率を変えて金額を合わせることも可能なのですね。
規制を読んでいくととても難しそうですが、一つ一つをキチンとクリアするのは誰にでも出来そうなシステムですね。
スカイポット
文字にすると難しく見えますが、趣旨は実態にそぐわなかったり、嘘の実績にならないよう配慮をする構成になっているだけです。
一般的な予想大会では大きな配当を取った者勝ちですが、それは予想家に求められる資質ではない
カピバラ
この規制はスカイポットさんが全て考えたものですか?
スカイポット
規則は全て私が書いています。法文の専門家ではないので、多々至らぬ点はあるかと思いますが。
カピバラ
一つ特徴的なのは一番の大的中レースと不的中をカットして計算する「保守回収率」ですね。これは的中率も大事だと思っているからこそ生まれたシビアなルールに感じます。この壁を乗り越える予想家が他に出てきてほしいですね。
あと、この規則は的確で配慮を含んでいて良いと感じました。
スカイポット
大穴を取っても、それが100Rに1回で他の予想が散々だったら、それが実力なのかわからないという観点ですね。一般的な予想大会では大きな配当を取った者勝ちですが、それは予想家に求められる資質ではないと考えています。
高配当の的中頻度を上げて貰えれば問題はないはずなので。規則はまだ想定外の穴がある可能性もあるので、引き続き、登録希望者や一般の方のコメントを頂戴しつつ、良いものにしていきたいと思います。
カピバラ
確かに、たったひとつの大的中でプラスにしてしまうと、その予想家を見ている人も安定した信頼を置けないですもんね。予想家が社会的な立場を向上させるためには、信頼を継続してもらう必要がありますし。
回収率を高くする過程で、どれだけコンスタントに的中していけるかが、予想家に与えられたテーマでもありますね。
スカイポット
的中率が高いということはレースへの洞察が深いことと直結していると感じていますので、安定的中には一定の比重を置いた指標にしました。予想家に与えられたテーマですね。
カピバラ
なるほど。とりあえず私は競馬ナンデに予想を投稿していって、一律で買い目を決めるか、一つずつ書くか決めておいて、100R溜まったら計算するという流れですね。
スカイポット
そうなりますね。今すぐでなくても結構なので、カピバラさんから見て、理解しにくい点などあれば教えて貰えるとありがたいです。
カピバラ
規則だけでなく、流れに沿う形でどこかに示しておくと良さそうですね。報告書を作るために、目の前のレースの予想文で必要なことが分かれば、報告書を作るか作らないかは別として、小さな負担で自分が正当に評価されるチャンスを得られるわけですから。
スカイポット
そうですね。おおよそ本日書いた手順と同じものがポンチ絵のようになっただけですが、ちょうど流れがわかるようにしたページも作成しようと準備していたところです。わかりやすさは重要ですよね。
カピバラ
そうでしたか!でしたらきっかけを掴みやすいですね。
最後に
カピバラ
最後に何かありますでしょうか。
スカイポット
特にはありません。単なる予想屋にしかなるしかない競馬予想業界に新たな道を切り拓いていきつつ、競馬ファンに高精度の予想情報に触れられる機会を増やしていきたいと考えていますので、ご支援を賜れれば幸いです。
カピバラ
はい!今日はありがとうございました。私も予想家の皆さんが考えていることをこのような対談を通じて多くの人に知ってもらえたらと思っているので、新たな競馬予想業界へ向けて支援をしていきますよ!
スカイポット
引き続きよろしくお願いいたします。本日はお招き頂き、ありがとうございました!
カピバラ
それでは、また細かい疑問点などあれば質問させていただきます。今回はこれで区切りです。今後競馬予想家協会に進展があれば、また対談させていただきますね!よろしくお願いします!それでは。
・対談終えて、カピバラの独り言
競馬予想って、最初は的中率が重視されていたんだと思います。そして、近年は回収率が重視されてきている。
でも、いくら回収率が高くても、100Rに1度しか当たらない予想では信頼が置けませんよね。
だから、今の予想家に求められているのもは、回収率が高いという前提の中で的中率を上げていくことなんだと思います。
「競馬予想家協会」によって、今の予想家が目指すべきひとつの指標が明らかになりました。
私はこれに挑戦したいし、他の予想家の予想力に触れてみたいと思うのです。
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